途上国における鉄鋼生産・利用・循環の実態

概要

資源循環や脱炭素化を進めるには、各国で素材がどのように生産され、蓄積され、循環しているかを把握する必要があります。しかし、グローバル・サウスの多くの国々は、これまで統計上「その他の地域」としてまとめられ、その実態が十分に分かっていませんでした。そこで本研究では、南米・アフリカ・アジアの16カ国を対象に、過去20年間の鉄鋼材の流れを分析しました。その結果、対象国では国内の製鋼能力が限定的であり、鋼板などの完成鋼材や自動車などの最終製品を輸入に大きく依存していることが分かりました。また、対象国の半数は依然として適切な生活水準に必要な最低限の鋼材蓄積量に達していないことも示されました。十分な鋼材蓄積を確保しつつ資源循環と脱炭素化を同時に推進することは、グローバル・サウス単独の努力では不可能であり、国際的な協力のもとでのみ成り立つことが示唆されました。

著者

Takuma Watari and Tomer Fishman

掲載誌

Environmental Research: Infrastructure and Sustainability, 5, 3, Link