
概要
脱炭素電力を使って鉄スクラップをリサイクルすれば、比較的低コストで低炭素鋼材を生産できます。しかし、その実現可能性は、各国が将来どれだけの鉄スクラップを確保できるかに大きく左右されます。では、将来利用できる鉄スクラップは、世界のどこで、どの程度発生するのでしょうか。本研究では、長年にわたり鉄鋼材を蓄積してきた欧州や北米、日本などでは、2050年までに国内需要の大部分を鉄スクラップで賄える一方、インドやアフリカ諸国では、輸入がなければ需要量のごく一部しか確保できないことを示しました。こうした鉄スクラップへのアクセスの格差は、過去の鉄鋼材利用と炭素排出の積み重ねによって生じたものです。脱炭素化を公平・公正に進めるには、鉄スクラップを国際的に流通させる仕組みや技術支援が必要であることが示唆されました。
著者
Takuma Watari, Damien Giurco, and Jonathan Cullen
掲載誌
Journal of Cleaner Production, 2023, 425, 139041, Link