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概要
本研究では、6種の主要金属を対象とした世界規模での数理モデルを構築し、パリ協定達成のための炭素制約が21世紀にわたる金属生産と利用にもたらす影響を解析しました。解析の結果、炭素制約下における天然鉱石からの生産量は全ての対象金属において2030年までにピークに達し、少なくとも2050年までにはスクラップからの生産量が天然鉱石からの生産量を上回ると推計されました。しかし、利用可能なスクラップには量的限界があるため、21世紀後半にかけて生産量は徐々に減少し続けます。その結果、蓄積量としての一人当たり金属利用可能量はシナリオ平均で約7トンに収束するという推計結果が得られました。これは日本を含む高所得国が現在利用している一人当たり約12トンを下回る値であり、脱炭素生産技術の開発と共に資源効率向上の必要性を示唆しています。本研究の一連の成果は、物質生産と利用に関する科学的目標の設定に向けた国際的議論を喚起すると共に、日本の脱炭素社会と物質利用に関する長期展望の構築に貢献することが期待されます。
著者
Takuma Watari, Keisuke Nansai and Kenichi Nakajima
掲載誌
Global Environmental Change, 2021, 69, 102284 Link